貝の火~オパール~

10月の誕生石はオパールとトルマリンです。

オパールは、英語ではプレイ オブ カラーと言われる「遊色」が、トルマリンはあらゆるカラーのものが存在する、それぞれにカラフルな彩りが魅力的な印象の宝石です。

今回はオパールについて、特に文学に登場するオパールについて書きたいと思います。

物語に登場するオパールで、検索で引っ掛かってくるのは、三角関係を面白く描いた、シェイクスピアの喜劇「十二夜」という作品です。

その中でオパールを、移ろいやすい女性の心を例えて「貴方の心はオパールそのもの」と表現し、宝石の女王として書かれております。

ほかにも有名な作家がその作品の中でオパールを登場させていますが、中でもオパールの美しさを、これまた美しい日本語で詩的に表現しているのが宮沢賢治です。

宮沢賢治の物語を読んでみると、多くの鉱物や宝石が登場し、彼の鉱物に対する興味や知識、愛情を感じますし、彼の物語に登場する鉱物をテーマにした本も出版されているほどです。

その作品の中に、オパールが登場する「貝の火」という物語があります。

オパールを表現した部分を抜粋させていただくと、

『玉は赤や黄の焔をあげてせわしくせわしく燃えてゐるやうに見えますが、実はやはり冷たく美しく澄んでゐるのです。目にあてて空にすかして見ると、もう焔はなく、天の川が綺麗にすきとほってゐます。目からはなすと又ちらりちらり美しい火が燃えだします。』

『それはまるで赤や緑や青や様々の火が烈しく戦争をして、地雷火をかけたり、のろしをあげたり、またいなづまが閃いたり、光りの血が流れたり、さうかと思ふと水色の焔が玉の全体をパット占領して、今度はひなげしの花や、黄色のチュウリップ、薔薇やほたるかづらなどが、一面風にゆらいだりしてゐるやうに見えるのです。』

オパールのゆらりと移ろう遊色、華やかなフラッシュの特徴や魅力を、実に独特にエモーショナルに表してくれていて、目に浮かぶようです。

「貝の火」というタイトルも、貝の持つ虹色の光沢と輝き、そして火、オパールの輝きの例えとして、これ以上のものがあるのかと心から感動するほどです。

この「貝の火」は、最後は割れてしまうのですが、水分を多く含むオパールも、乾燥に弱く割れてしまうことがあります。

そんなオパールの鉱物としての特徴まで、宮沢賢治は書いているのですね。

宮沢賢治には、ほかにもオパールが登場する「楢ノ木大学士の野宿」という童話もあります。

この物語の中にも「貝の火兄弟商会」というものが登場しますが、「貝の火」は宮沢賢治のお気に入りだったのかもしれません。

また、たくさんの宝石が自然の様々のものとリンクする美しい光景を綴った、「虹の絵具皿. (十力の金剛石)」という夢のような童話もありますので、ぜひ宮沢賢治の物語で、文字で表現された宝石の美しさをお楽しみください。

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